第121回医師国家試験は、令和9年(2027年)2月6日(土)・7日(日)の2日間、400問をA〜Fの6ブロックで解きます。合格には3つの条件を同時に満たす必要があります。必修問題で200点中160点以上、必修を除く一般問題・臨床実地問題で相対基準の点数以上(第120回は300点中224点)、禁忌肢の選択が基準以下(第120回は3問以下)。願書の受付は令和8年11月2日〜30日、受験手数料は15,300円、合格発表は令和9年3月16日14時です。数字は厚生労働省の公表に基づき、2026年10月21日時点で確認したものです。
医師国家試験とは何か、誰が受けるのか
医師国家試験は、厚生労働省が医師法に基づいて年1回行う試験です。試験内容は「臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、医師として具有すべき知識及び技能」と公示されています。運営は厚生労働省医政局医事課の試験免許室が担当します。
受験者の大半は、その年の3月に卒業する医学部6年生です。第120回の受験者9,980人のうち、新卒者は9,205人でした。残りの775人が既卒者などです。外国の医学校を卒業した人も、厚生労働大臣の認定を受ければ同じ試験を受けられます。この道筋は別ページの外国の医学校を卒業した人の受験資格認定と予備試験で説明しています。
この試験は臨床研修への入り口でもあります。合格して医籍に登録されても、診療に従事するには2年以上の臨床研修を受ける必要があります(医師法第16条の2)。詳しくは合格したあとの流れにまとめました。
受験資格と出願の手順
受験資格は医師法第11条に定められています。厚生労働省の第121回の公示では、次のいずれかに当たる人が対象です。
- 大学で医学の正規課程を修めて卒業した人。共用試験に合格していることが条件です(令和7年4月1日より前に卒業した人は例外)。令和9年3月9日までに卒業見込みの人を含みます。
- 医師国家試験予備試験に合格し、合格後1年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練を経た人。
- 外国の医学校を卒業し、または外国で医師免許を得た人のうち、厚生労働大臣が適当と認定した人。
在学中の6年生は、卒業見込みで出願します。手順は次のとおりです。日付の詳細と書類の一覧は日程・出願・手数料のページにあります。
- 書類をそろえる。受験願書(医師法施行規則第3号書式)、出願前6か月以内に撮影した縦6cm×横4cmの写真、返信用封筒(縦23.5cm×横12cm、590円分の切手を貼り書留の表示)、卒業見込証明書を用意します。
- 手数料の収入印紙を貼る。15,300円分を願書に貼り、消印はしません。受理後は返還されません。
- 11月2日〜30日に提出する。書留郵便で医師国家試験運営本部事務所へ送ります。11月30日までの消印が有効です。持参する場合は各地の臨時事務所に、平日の午前9時〜12時、午後1時〜5時に出します。
- 受験票を待つ。令和9年1月上旬に郵送されます。1月25日までに届かないときは本部事務所に問い合わせます。
- 卒業証明書を出す。卒業見込みで出願した人は、令和9年3月9日午後2時までに卒業証明書を提出します。
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試験の形式と採点
総問題数は400問です。1日目と2日目にブロックが割り振られ、各ブロックの内容は次のとおりです。
| ブロック | 内容 | 問題数 |
|---|---|---|
| A | 医学各論 | 75問 |
| B | 必修 | 50問 |
| C | 医学総論 | 75問 |
| D | 医学各論 | 75問 |
| E | 必修 | 50問 |
| F | 医学総論 | 75問 |
選択肢は5つ(A〜E)の択一が中心です。複数を選ぶ問題は、「2つ選べ」「3つ選べ」のように選ぶ数が指定されます。第120回の正答値表では、400問のうち「2つ選べ」が28問、「3つ選べ」が2問でした。合わせて30問、7.5%です。数字をマークして答える数値入力型も1回に3問ほど出ます。形式の詳細は問題形式の読み方を見てください。
ブロックごとの試験時間は、確認できた厚生労働省の公示ページに記載がありません。受験票に同封される案内で確認してください。
配点と3つの合格条件
必修問題は、一般問題が1問1点、臨床実地問題が1問3点です。必修は100問で200点満点になります。必修を除く一般問題と臨床実地問題は300問で、各1点の300点満点です。第120回の合格基準は次のとおりでした。
- 必修問題:200点満点中160点以上
- 必修を除く一般問題・臨床実地問題:300点満点中224点以上
- 禁忌肢問題の選択数:3問以下
必修は絶対基準で、毎年80%です。一般・臨床の基準点は毎回変わり、第117回は295点満点中220点、第118回は230点、第119回は221点、第120回は224点でした。禁忌肢の上限は第117回だけ2問以下で、第118〜120回は3問以下でした。比較表と考え方は合格基準と禁忌肢のページにあります。
出題基準とブループリント:領域別の配分
出題の範囲と比重は、厚生労働省の「令和6年版医師国家試験出題基準」とブループリントが示しています。ブロックの構成は必修100問、医学総論150問、医学各論150問です。公式のブループリントは章ごとの割合を概数で示しているため、当サイトではそれを12の学習領域にまとめ、400問に按分しました。問題数は目安であり、各回の実際の出題数とは異なります。
| 領域 | 配分(推定) | 問題数の目安 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 必修:臨床の基本 | 18.25% | 約73問 | 領域ページ |
| 必修:医師の責務・倫理・社会・安全 | 6.75% | 約27問 | 領域ページ |
| 総論:正常構造・病因病態・症候 | 15.5% | 約62問 | 領域ページ |
| 総論:保健医療論・予防(公衆衛生) | 11.25% | 約45問 | 領域ページ |
| 総論:診察・検査・治療 | 10.75% | 約43問 | 領域ページ |
| 各論:呼吸器・循環器 | 6.25% | 約25問 | 領域ページ |
| 各論:神経・運動器・内分泌代謝 | 6.25% | 約25問 | 領域ページ |
| 各論:消化器・血液 | 6.5% | 約26問 | 領域ページ |
| 各論:免疫・感染症・環境 | 6.5% | 約26問 | 領域ページ |
| 各論:腎・泌尿器・生殖器 | 4.25% | 約17問 | 領域ページ |
| 各論:皮膚・眼・耳鼻咽喉・頭頸部 | 4% | 約16問 | 領域ページ |
| 各論:周産期・精神 | 3.75% | 約15問 | 領域ページ |
表の数字は当サイトの推定です。たとえば公衆衛生は、民間予備校の分析(二次情報)によると第120回の一般問題150問のうち45問、30%を占めました。ブループリントから単純に按分した値より大きい回もある、と考えておくのが安全です。頻出分野の見方のページで、配分をどう勉強時間に変えるかを説明しています。
出題基準の読み方
現行の出題基準は令和6年版で、令和5年(2023年)3月に公表され、第118回から適用されています。必修の基本的事項は18項目、医学総論は9章、医学各論は13章で構成されます。章ごとの割合は概数で示され、合計が100%にならない場合があります。医学各論の割合が大きいのは、消化器・腹壁・腹膜疾患(約13%)、腎・泌尿器・生殖器疾患(約12%)、皮膚・頭頸部疾患(約11%)、心臓・脈管疾患(約10%)です。医学総論では予防と健康管理・増進が約17%と最大で、保健医療論が約13%、治療が約13%と続きます。
疾患ごとの到達レベル(a・b・c)が出題基準に示されています。民間予備校の第120回分析(二次情報)では、各論の疾患のうちレベルaが107問、bが33問、cが5問でした。大半はaの疾患から出ています。まず頻出疾患の初期対応と鑑別を固め、cの疾患は後回しにするのが効率的です。
合格率の推移:第117回から第120回
厚生労働省の合格発表から、直近4回の結果と基準を並べます。新卒者以外の合格率は、全体の数字から新卒者の数字を引いて当サイトで計算した値です。
| 回 | 全体の合格率 | 新卒者 | 新卒者以外(計算値) | 一般・臨床の基準点 | 禁忌肢 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第117回 | 91.6% | 94.9% | 55.2% | 220点(295点満点) | 2問以下 |
| 第118回 | 92.4% | 95.4% | 58.9% | 230点(300点満点) | 3問以下 |
| 第119回 | 92.3% | 95.0% | 59.0% | 221点(300点満点) | 3問以下 |
| 第120回 | 91.6% | 94.7% | 54.6% | 224点(300点満点) | 3問以下 |
基準点を満点で割ると、いずれも73〜77%の範囲です。第117回は74.6%、第118回は76.7%、第119回は73.7%、第120回は74.7%になります。目標は「毎回75%前後を超える」と置き、模試や演習では余裕を見て78〜80%を狙うのが現実的です。この目安は上の計算に基づく当サイトの判断であり、第121回の基準点を約束するものではありません。
準備の進め方:4つの段階
6年生が秋から本試験まで走る場合、次の4段階で考えると整理しやすくなります。週ごとの計画表は6年生の勉強スケジュールに、16週・12週・8週の3通りで載せています。
| 段階 | 狙い | やること |
|---|---|---|
| 1. 土台 | 弱点科目の穴埋め | 出題基準の12領域で自己採点し、得点の低い領域を3つ決める |
| 2. 演習 | 一般・臨床の得点を伸ばす | 過去問と問題集をブロック単位で解き、誤答の理由を分類する |
| 3. 必修固め | 160点の確保 | 必修を毎週解く。落とした臨床実地問題は3点の損失として記録する |
| 4. 総仕上げ | 本番の再現 | A〜Fを通しで解く日を作り、制限時間と集中力の配分を確認する |
過去問の原典は厚生労働省が公開しています。第120回については、問題と正答が公表されています。直近の複数年分を、A〜Fの形式のまま解くことをお勧めします。必修の取り組み方は必修対策のページで詳しく説明します。
過去問の使い方
厚生労働省は、各回の問題と正答を試験後に公表します。第120回の正答値表では、設問ごとの正答に加えて「2つ選べ」「3つ選べ」の別が確認できます。演習の第一歩は、この公式の形式に慣れることです。解きっぱなしにせず、間違えた問題を次の4つに分けて記録します。
- 知識の欠落。そもそも知らなかった。出題基準の該当章に戻って覚え直します。
- 知識の取り違え。似た疾患や似た制度を混同した。比較表を作って整理します。
- 読み違い。「誤っているもの」を「正しいもの」と読んだ、選択数を見落とした。設問末尾に線を引く習慣をつけます。
- 判断の誤り。知識はあったが優先順位を誤った。救急や禁忌肢に関わる問題は、最優先で見直します。
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不合格になる主な理由
公表データから読み取れる事実を先に挙げます。第120回の全体の合格率は91.6%、新卒者は94.7%でした。新卒者以外は、全体の数字から新卒者の数字を引いて計算すると、受験775人に対して合格423人、54.6%です。第117〜120回でも同じ計算で55〜59%の範囲に収まります。新卒者の合格率が9割を超える一方、既卒などの人は5割台という差があります。
次の点は、合格基準の仕組みから導かれる落とし穴です。
- 必修で160点に届かない。一般・臨床の点数が十分でも、必修が159点なら不合格です。必修は落とせる点数が40点しかなく、臨床実地問題を13問落とすだけで39点を失います。
- 禁忌肢を選びすぎる。基準は第120回で3問以下です。得点とは別の条件なので、点が高くても超えれば不合格になります。
- 相対基準の読み違い。一般・臨床の基準点は毎年変わります。第118回の230点と第119回の221点では9点差があります。前年の点数だけを目標にするのは危険です。
- 公衆衛生・法規・制度の取りこぼし。民間予備校の分析(二次情報)では、受験者がつまずきやすい分野として挙げられています。公衆衛生の領域ページを参照してください。
- 画像問題と連問での判断ミス。同じく民間予備校の分析では、第120回の画像問題は91問、22.8%でした。
出願で失敗しないために
6年生の場合、出願が11月に終わり、本番は2月上旬です。提出書類が期限までにそろわない場合、受験は原則として無効になると公示されています。受理後は書類の返還もできないため、卒業見込証明書の発行を早めに大学へ依頼し、願書は受付期間の前半に出すと決めておくと、勉強に集中できます。
合格したあと
合格発表は令和9年3月16日(火)14時に、厚生労働省のウェブサイトで受験地と受験番号により公表されます。合格後は、保健所を通じて医籍登録を申請し、登録後に医師免許証が交付されます。診療に従事するには2年以上の臨床研修が必要です(医師法第16条の2)。免許申請の書類や費用は、申請前に厚生労働省と管轄の保健所で最新の案内を確認してください。詳細は合格したあとの流れを参照してください。
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用語の整理
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 必修問題 | B・Eブロックの100問。一般問題は1問1点、臨床実地問題は1問3点で、200点満点。160点以上が絶対基準 |
| 一般問題 | 知識や判断を問う設問。必修を除く一般問題・臨床実地問題は各1問1点 |
| 臨床実地問題 | 症例を提示する設問。連問(同じ症例で複数の設問)を含む |
| 絶対基準 | 他の受験者の成績に左右されない基準。必修の160点が該当する |
| 相対基準 | 毎回の受験者の成績をもとに決まる基準。一般・臨床の基準点が該当する |
| 禁忌肢 | 合格基準で選択数に上限がある選択肢。第118〜120回は3問以下 |
| 選択数指定型 | 「2つ選べ」「3つ選べ」のように選ぶ数が指定される複数選択 |
| 正答値表 | 厚生労働省が試験後に公表する正答の一覧。選択数の別も確認できる |
公式資料の入手先
数字は毎回変わります。次の厚生労働省のページを、試験の前後に確認してください。
- 医師国家試験の施行について:日程、試験地、願書の受付、手数料、合格発表の日時。
- 合格発表のページ:受験者数・合格率、合格基準(回ごとに掲載)。
- 問題および正答のページ:過去問と正答値表(直近は第120回)。
- 出題基準・ブループリントのページ:令和6年版の章立てと割合。
- 受験資格認定と予備試験のページ:外国の医学校卒業者向けの手続き。
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